セミナーレポート明日から利用可能!
店舗で需要予測を実現する3つのポイント

2022年5月12日、AI需要予測システムを提供するコニカミノルタジャパン株式会社と、ワンストップでDX推進、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援する株式会社エスキュービズムの2社が、「需要予測による店舗運用の負荷低減」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。
本セミナーでは、店舗オペレーションの省力化を実現する店舗POSシステムおよびその運用・利用方法、また、明日からでもすぐに利用可能な需要予測システムの活用方法などについて解説しました。

需要予測を実現する店舗システムの目指す姿

——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、「店舗の需要予測を実現するポイント」について紹介しました。

デジタルの視点から見た店舗を取り巻く状況の変化

オムニチャネルベンダーとして小売の状況を見ていても、ECサイトの利用者増加が激しく、実店舗の来店・売上の減少傾向が継続しています。人流は回復傾向にあるものの、2019年後半の次世代型店舗が続々と生まれていた状況にはすぐには戻らないであろうと予測されます。
コロナ前から続く労働者人口の低下に加え、店舗稼働率の低下、来店客数の低下が起きており、最盛期に比べて店舗での販売効率が大幅に低下しているのです。
さらに、半導体不足の長期化によりこれまでのような生産もできない状況下では、生産から販売までのビジネスフロー全体を見直す必要があります。

ジャストインタイム方式(※)はコロナ禍のような未曽有の障害に対して脆弱であることが明らかになり、先行きが不透明な世界情勢を考えると、需要の見極めはこれまで以上に困難となっています。投資判断の誤りにより生産過剰や生産抑制が発生し、サプライチェーン全体に影響を及ぼしていますが、需要を予測するためのパラメーターが複雑化していることも原因の一つといえます。

※トヨタの生産方式の一つ。「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」生産・供給する仕組み。

販売スタイルの変化も見逃せない要因です。
これまで過剰生産で余剰在庫となった商品は特定の時期に店舗で値下げすることで在庫が解消できていました。しかし、店舗の来店客が減少し、店舗に集客する手間やコストが増加している状況において、これまでと同様の販売計画では成立しなくなってきています。

環境問題への配慮も引き続き必要であり、サスティナブルな開発を意識した事業モデルが社会的にも求められる時代でもあります。

これからの社会で生き残るため考慮すべき要素

これから店舗に求められるのは根本的な「無駄をなくす」ことです。サプライチェーン全体の最適化と正しい販売予測により「商品を売り切る」モデルへの変革を行うべきです。

  • 適切な製造
  • 適切なデリバリー
  • 作りすぎない
  • 廃棄を減らす

製造・販売計画の精度を高め、セールではなくプロパーで商品を売り切るモデルへの変革で大量生産・大量消費モデルからの脱却を図る必要があります。

そのためには売上の実績をより正確に素早く収集することが重要になりますが、それに反して店舗オペレーションは複雑化し、無駄の温床となっています。

  • 業務オペレーション増加のため接客時間、対応時間も増加
  • 正確な販売データを作るため周辺業務への負担増加
  • 販売実績の素早い登録のため覚える仕事やツールが増加

さらに、店舗スタッフを活用したEC流入施策の強化や店舗受取などECに関する業務も増えています。

店舗の業務効率を上げ、正しい情報を素早く連携するためには、仕組み作りが必要になります。
店舗業務の効率化を図り、本質的な業務に集中することで正確なデータを短時間で生成するには、分散している複数のシステムを統合し、システムごとのトレーニングなどの無駄は廃する方向で進めていくべきです。
店舗の需要予測を実現するために、業務をしやすい環境を作ること、また業務遂行のための仕組みを一つにまとめることが重要なポイントであると我々は考えています。

そこで、お客様の情報をPOSの中に集約、一つの端末で統一して活用する、POSを通じて情報を生かすことをご提案しています。
周辺機器の統一化、操作系(UI)の統一化といったニーズも、ORANGE POSであれば対応可能です。
ORANGE POSはネイティブアプリ型の店舗運用プラットフォームです。複数の業務に簡単にアクセスでき、一台のタブレット端末で多くの業務を実行できます。

ORANGE POSで店舗業務の効率化と正確なデータの収集を行い、需要予測にお役立ていただければと思います。

AIデータ予測の活用による店舗力強化
~社内データを活用してリテールDXを推進~

——AI需要予測システムを提供するコニカミノルタジャパン株式会社 マーケティングサービス事業部 花田 菜理氏のセッションでは、「AIデータ予測の活用による店舗力強化」について解説されました。

AIによる需要予測はなぜ必要か?

ECサイトの隆盛が顕著となる中、店舗はどのようにビジネスを推進していけばよいかというと、来店されるお客様に新たな価値を提供すること、「来店理由」を創出する「店舗体験」の再設計が重要になっています。
そのため、特長的な品ぞろえ強化やデジタルを活用したエンゲージメント強化など、店舗スタッフにはクリエイティブ業務の比重が高まっています。

一方で、本日のテーマである「需要予測」に関しては効率化が求められています。
需要予測とは仕入れ、人員配置などの中長期的な計画を立てるための基準のデータを作る作業で、店舗活動の基礎となる重要な業務で、以下のような需要予測に関する業務は、これまでベテランを中心とする「人」が行っていました。

報告業務

売上げ見通しの報告

発注業務

機会損失や余剰在庫を持たない最適な発注

販促業務

戦略的な販促の実施

しかし、お客様のニーズの多様化、コロナ禍などによる外部要因の変化、需要予測項目の増加など、様々な要因で「人」が需要予測作業をやりきることが難しくなっています。

需要予測は自店のPOSデータ、販売データに加え、外部のデータも取り扱うためデータ量も多くなる業務です。
膨大なデータを取り扱えるのがAI(人工知能)で、AIを活用したサービスが急速に発展しつつあります。

AIには大きく分けて認識系、会話系、実行系、予測系の4つの分野があり、たとえば自動運転や音声認識のバーチャルアシスタントなどもAIに含まれます。
「なんでもできる」と思われているAIは、実際には得意・不得意な分野があります。目的がはっきり定まっていて膨大なデータを高速処理することは得意ですが、曖昧なゴールや少ないデータでの分析は不得意です。こうしたAIの特性を理解し、AIと人間の作業分担を最適化することで非常に強力な業務効率化ツールになり得ます。

AIデータ予測プラットフォーム「AIsee」の活用

AIの導入運用をビジネス面でどのように認識されているかというと、ネガティブな印象を持たれている方は多いのではないでしょうか。

  • 事前のデータ準備が大変なのではないか
  • ITスキルやAIの知識がないと運用できないのではないか
  • コストが高いのではないか

といった理由で、AIのデータ予測は大企業以外での導入が進んでいない状況となっています。経済産業省でもAI人材の育成やAIに関する知識の普及を目的とした活動を行っているところです。

コニカミノルタジャパンでは、AI需要予測ツール「AIsee(アイシー)」のサービスを展開しております。店舗の需要予測を店舗で実現するためのサポートを行えるツールになっており、標準機能として膨大なデータを蓄積する機能、予測モデルを選択するだけで予測結果を出力する機能、結果をグラフ化して表示する機能が備わっています。
AIのスキルが不要で、データの入力も手軽に行え、低コストで利用可能です。
これまでAIの導入が難しいと考えられていた企業様にも、活用しやすいツールであると考えています。

AIで需要予測を効率的に行うポイント

AIの需要予測を効率的にどのように行えばよいのか、2つのポイントをお伝えします。

1:発注業務を効率化するために需要予測の粒度を変える
予測対象商品の選別
非定番商品は断続データを活用してAIで需要予測し、トレンドに対応する
目的によっては「カテゴリ予測」を活用
新商品仕入れ時にカテゴリ予測に切り替え、データがなくてもカテゴリ内での予測を行う
2:シミュレーションしながら販促のギャップを埋めていく
中長期の需要予測
6ヶ月先まで予測可能なため、過去の長期データを投入し予測精度の改善を図る
ギャップ認識とシミュレーション
販促効果シミュレーションを活用、可視化した状態で販売目標に対するギャップ対策を検討しやすく

ぜひAI技術の活用によって需要予測にかかっている店舗スタッフの工数を下げ、他のクリエイティブ業務や店舗運営業務に注力できるような環境整備を行っていきましょう。そうすることで店舗業務の効率化を図れますので、店舗運営の抜本的な改善が期待できると考えております。

AIseeの無償トライアルもご用意しておりますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

まとめ

1、労働者人口の低下や来店客数の低下により最盛期に比べて店舗での販売効率が大幅に低下
販売スタイルの変化と環境問題に配慮しサスティナブルな開発を意識した事業モデルが求められる
→サプライチェーン全体の最適化と正しい販売予測により「商品を売り切る」モデルへの変革が必要
2、店舗オペレーションは複雑化し、無駄の温床となっている
店舗の業務効率を上げ、正しい情報を素早く連携するための仕組み作りが必要
→お客様の情報をPOSの中に集約、一つの端末で統一して活用。POSを通じて情報を生かす
3、需要予測は扱うデータ量が多く、さらに属人化しやすい業務
AIと人間の作業分担を最適化することで非常に強力な業務効率化ツールに
→店舗業務の効率化を図り、店舗運営の抜本的な改善を

登壇社紹介

コニカミノルタジャパン株式会社 【HP】https://www.konicaminolta.jp/business/index.html
コニカミノルタジャパンは、コニカミノルタグループの中核事業である情報機器、医療機器、産業用計測機器などの販売・サービス提供を行う日本国内の事業会社です。
オフィスや医療など様々なお客様との接点を担い、デジタルイメージング(画像・データ)の技術やノウハウを活用した製品・サービスを展開。日本の社会や企業における課題を発見し、解決できる”新しい価値”を提供することで、社会やお客様の<進化>に貢献します。
株式会社エスキュービズム
「Retail Innovation」をコーポレートスローガンに掲げ、流通小売業をはじめとする企業のICT/DX推進、オムニチャネルやOMOなど次世代型ビジネスモデルの課題解決を実現するシステムベンダーです。 リアル店舗とECシステム、コールセンターなど、複数チャネルの在庫・オーダーマネジメントが実現可能な自社開発システムパッケージを有しているため、完全ワンストップで企業のDX推進、デジタル化、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援いたします。