SaaSとパッケージ、EC構築時に考えるべきこと
——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、「ECを含むビジネスモデル」について解説しました。
より求められるECサイト
コロナ禍により消費者のオンライン化が加速している状況が、総務省やリサーチ会社等から発表されているデータから明らかとなっています。感染状況が落ち着いても消費者のオンラインでの購買行動傾向は継続しているため、特異データではなくもはや当たり前のこととして定着してきたと言えるでしょう。 各業界のEC化率も右肩上がりに上昇しており、市場のシュリンクが見られる場合でもECの占有率は上がっているという状況です。
消費者の行動転機がオンラインからオフラインに移行しつつある中、ECサイトの運営企業はアフターコロナを見据えて消費者の変化に素早く対応する必要があります。その際に留意するべきは、「デジタルリテラシーや顧客ニーズが細分化し顧客層が多様化している」点です。 多様化した顧客に合わせて新たなアプローチを行っていくことが、これからのECシステムにより求められると考えています。市場拡大により企業としても大きな売上を作れる場になってきているため、ECはさらなる強化が必要になっています。
SaaSとパッケージのメリット/デメリット
まず、ECサイトを構築する際には概ね以下の4タイプから検討されることがほとんどです。
フルスクラッチによるゼロベースでの開発
パッケージ導入
ASP/SaaSを利用
モールサイトに出店
4から1の順に、構築にかかる費用は高くなりますが、自由度においては逆にゼロベース開発が一番高くなります。
ASP/SaaSでは、システムの所有権をASP/SaaSの事業会社が持ち、保守や管理も事業会社が実施します。サービスの利用者は利用費用を支払い「サービスを実行する権利」を得ますが、システムの所有権は原則としてありません。ECシステムとして出来上がっているプラットフォームを利用するため、コストと開発期間を大きく抑えられます。 デメリットとしては、自社の業務をASP/SaaSに合わせる必要があります。自社で使っている基幹システムとの連携や、業務に合わせたカスタマイズなどができないケースもあります。また、集客や販促などマーケティング施策を自社で企画、実行する必要があります。
パッケージでは、ECサイトに必要な標準的な機能を予め備えているため、ゼロベース開発よりもコストと開発工数を抑えることができます。自社の業務に合わせたカスタマイズや追加開発が可能です。 デメリットとしてはそれなりに開発コストがかかること、通常はベンダーロックインがかかり開発や保守の自由度が制限されることです。また、SaaSでは事業者が提供していたサーバ運用や保守契約などの運用ノウハウも必要になってきます。
こうしたメリット・デメリットは、企業のECの成長ステップに合わせた選択をする時に判断の基準となってきます。
まずはECへ参入するハードルの一番低いモール出店からスタートし、徐々に収益の最適化や業務負荷の低減などの課題を解決するためにSaaSやパッケージへステップアップして事業拡大を図るのが一般的です。
ASP/SaaS
自由度が少ない が、運営やシステムのスキルを必要とせず、比較的容易に運用を実施できる
パッケージ
自由度は多い が、システム開発の指揮命令、仕様確定など要求されるスキルも多い
ここさえクリアできれば、メリットはそれぞれにあるということです。どちらが良いか悪いか、ということではなく「どちらが自社の事業に合っているか」それぞれのビジネスの段階に合わせて検討するべきです。
パッケージの特色として「カスタマイズが可能」「ポイントシステムや購買システムなど他のシステムとの連携が可能」という点が挙げられますが、そのメリットを活かしつつさらにベンダーロックインがないパッケージがエスキュービズムの「EC-ORANGE」です。
「EC-ORANGE」はソースコードを開示しているため開発ベンダーの制約がないという他のECパッケージとの圧倒的な違いを持っています。 パッケージベンダー以外では開発やメンテナンスができないという状況を排し、自社開発や自社の協力会社などにカスタマイズを依頼するなど自由度の高い開発を実現できます。
ASP/SaaSはEC事業のスタート段階では最適ですが、今後EC拡大を目指す企業にはパッケージが最良と考えます。エスキュービズムのEC-ORANGEはパッケージの中でもソースコード開示という大きなメリットを持っています。 パッケージ導入をご検討の場合は、ぜひEC-ORANGEもご検討いただければと思います。