セミナーレポートEC/オムニチャネルの購買体験・戦略を一歩先へ。
~これから求められる「見つけてもらう」テクノロジー

2021年9月28日、「探す、見つける」テクノロジーの専門企業であるビジネスサーチテクノロジ株式会社と、ワンストップでDX推進、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援する株式会社エスキュービズムの2社が、「見つけてもらうためのテクノロジー」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。本セミナーでは、「ECサイトをどのように見つけてもらうのか」、さらに、そのECサイトで「欲しい商品をどのように見つけてもらうのか」という、大きな課題の解決を目的に、これからのEC/オムニチャネルに必要な購買体験・戦略について解説しました。

新時代の自社EC販売戦略

——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、「最新のオムニチャネル戦略」について紹介しました。

デジタルチャネルの顧客行動の変化

2020年のコロナ禍以降は、「予想よりも速くオンライン化が進んでいる」ということがキーワードになっており、この1年で過去10年間に匹敵する程の伸び率を示しています。各市場でEC化率が高まり、書籍や音楽といった分野ではEC化率が40%を超えるなど、市場規模が縮小していてもECの占有率が増加してきています。
スマホ利用率の増加やインターネットの利用目的として購入系のニーズが増加していることなどから、各業界でオンラインが主戦場となりつつあることが見て取れるでしょう。

元々デジタルチャネルでは「検索を抑えたものが勝ち」でした。検索するというユーザーの自発的な行動に答えるため、GoogleやYahoo!などの検索エンジンではユーザーの検索スタート画面を自社サービスにさせることを戦略としていました。
しかし、現在では検索行動が減少し、SNSで受動的な情報収集や、動画アプリやSNS内での検索が増えています。パーソナライズやレコメンド、ハッシュタグによる類似閲覧によって「探さなくてもよい時代」になってきているということです。

BtoCの領域では情報に接触するまでのプロセスが大きく変化しており、接触、認知から訪問までのステップが短縮されているため、これまでのユーザー誘導策が効果を発揮しにくくなっています。

このように、デジタルチャネルでの顧客行動は大きく変化し、これまでと同じアプローチでは顧客の獲得が困難になりました。細分化された顧客ニーズに対応する必要があるのです。

変化に対応するECのあり方

これまでは流入元は検索エンジンやメルマガといった媒体がほとんどでしたが、前述の通りユーザーのいる場所はSNSやUGM(ユーザー・ジェネレイテッド・メディア=口コミコンテンツ)など多岐に渡っているため、ECサイト側でも適応する受け皿が必要になってきています。

大手モールで買えない一点物の商品をSNSで見つけ、リンク先のD2Cサイトで買う、というような動きにもみられるように、ユーザーのいる場所にECサイトを作っていくのが効果的でしょう。つまり、日常的にアクセスしている範囲内にECサイトがあるのが理想的です。生活圏内にあるコンビニには立ち寄りやすいことと同様に、「情報生活圏にECサイトがなければ見つけてもらえない」状況になりつつあるからです。

SNS連携型ECやCGM連携型ECなど、顧客が接触しやすいECサイトを作っていくためには、ヘッドレスコマースの仕組みを使って複数のフロントUIとECシステムをAPI連携する手法が効率的です。ヘッドレスコマースであれば、製品紹介ページからそのまま購入させたり、コーディネート紹介から購入させたりといった、これまではECサイトではなかった場所をECサイトにすることができます。

ヘッドレスコマースでお客様のニーズに合った顧客接点を量産していくことが、変化に対応できるECサイトの活用方法になっていくと考えています。
いた時代から、今やニーズからダイレクトにコンテンツにたどり着くようになっているため、これまでの「ニーズにリーチさせるプロセス」が存在しなくなってきているのです。

ECのCV改善、効果を出すならまずはここ!

——検索エンジンの開発および販売・サービス提供を行うビジネスサーチテクノロジ株式会社 取締役 兼 営業本部長 光安 紀臣氏のセッションでは、「ECのCV改善」について解説されました。

ECサイトにおける検索の重要性

ビジネスサーチテクノロジでEC利用に関する調査を行ったところ、オンラインショッピングで利用されている端末は、7割がスマホやタブレットであるという結果になりました。また、9割がオンラインショッピングの際にサイト内検索を行うと回答しています。ところが、サイト内検索で目的の商品が見つからなかったことがあるという回答も9割近くありました。

購入目的で訪問したサイトで商品が見つからなかった場合、多くのユーザーがそのサイトから離脱してしまうため、離脱を防ぐ改善を行う必要があります。離脱させずに購入につなげることが、売上改善の重要なポイントになってくるのです。

スマホでは情報量が限定され、隙間時間での利用がほとんどであることなど制約があります。そのため、購入に至るまでの無駄を省き、最短でコンバージョンに誘導することが重要です。

検索改善サービスの紹介

検索する際に、ユーザーは必ずしも正しい商品名で検索するとは限りません。曖昧な記憶や入力ミスなどで発生する「類語」と呼ばれる近似表現を正式名称に紐づける必要があります。検索精度やナビゲーションの最適化を図るために、多様なニーズに対応できる検索ソリューションで改善のご提案をしております。

ポップリンク(※)

ポップリンクはサジェストサービスです。検索窓に数文字入力すると、候補語をいくつか提示するサービスです。表記ゆれへの対応や入力ミスを防ぐことができます。またリンク付きの商品サムネイルも同時に検索結果に表示しますので、最短で商品ページまで到達させることができます。
指定のタグをサイトに貼り付けるだけで実装できます。

引用:https://www.bsearchtech.com/products/poplink/

目的買い、リピート購入が多いというユーザー傾向があるショップ様にポップリンクを導入したところ、サイト内検索の利用率、検索利用者のCV数が向上したという事例がございます。

ポップファインド(※)

検索結果に対し、さまざまな検索軸で絞り込みが可能な商品検索サービスです。JavaScriptタグの設置で簡単にAmazonライクなECサイトにすることができます。

引用:https://www.bsearchtech.com/products/popfind/

これらのサービスを導入されたあるショップ様では、検索経由のCV率が約5~10倍になったという成果が出ています。

自社のECのサイトで検索機能を実際に使ってみると、使いにくいところやわかりにくいところ、検索精度などの改善ポイントが出てくると思いますので、ぜひご自身で確認していただきたいと思います。
検索窓の改善は成果を確認しやすく、売上向上にも寄与するポイントです。この機会にぜひ改善を検討してみていはいかがでしょうか。

※文中記載のサービスは講演時点の名称です。

まとめ

1、デジタルチャネルは検索を抑えた者が勝つ時代が続いていた
消費者行動の変化により検索行動が減少、SNSなどで受動的な情報収集が増え「探さなくてもよい時代」に
→情報に接触するまでのプロセスが大きく変化、細分化された顧客ニーズに対応する必要性が高まる
2、「情報生活圏にECサイトがなければ見つけてもらえない」状況になりつつある
ユーザーのいる場所にECサイトを作っていくのが効果的
→ヘッドレスコマースでお客様のニーズに合った顧客接点を量産し、変化に対応
3、サイト内検索で目的の商品が見つからなかった場合の離脱率は9割
購入に至るまでの無駄を省き、最短でコンバージョンに誘導することが重要
→検索窓の改善は成果を確認しやすく、売上向上にも寄与するポイント

登壇社紹介

ビジネスサーチテクノロジ株式会社 【HP】https://www.bsearchtech.com/
ビジネスサーチテクノロジ株式会社(BST)は、検索エンジンの開発および販売・サービス提供を行っています。サイト内検索領域を中心に、柔軟性・安定性の高いサービス提供を行い、企業サイト、ECサイトをはじめ、金融、不動産、官公庁等の幅広い業種で850社以上のお客様にご利用いただいています。
BSTは、高度なクローリング技術を強みとして、インターネット、イントラネット、商品データ・口コミ・FAQなど、多様なWebコンテンツを横断的に集約して、企業サイト、ECサイトでの的確な情報提供、顧客サポート、マーケティング等への活用を可能にすることで、情報価値の向上と、ナビゲーションの最適化、コンバージョンの向上を実現します。
株式会社エスキュービズム
「Retail Innovation」をコーポレートスローガンに掲げ、流通小売業をはじめとする企業のICT/DX推進、オムニチャネルやOMOなど次世代型ビジネスモデルの課題解決を実現するシステムベンダーです。 リアル店舗とECシステム、コールセンターなど、複数チャネルの在庫・オーダーマネジメントが実現可能な自社開発システムパッケージを有しているため、完全ワンストップで企業のDX推進、デジタル化、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援いたします。