コロナ後のオムニチャネル戦略
——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、これからECサイトに本格的に取り組む企業様に向けECを発展させていくにはどのようなことをすればよいかを解説しました。
運用して明らかになるECの課題
コロナ禍において実店舗での購買行動が制限されたことにより、EC化率やEC定着率が増加してきています。本来であれば5年~10年間で徐々に成長していくところ、この1~2年で爆発的な成長率となっているのです。
そんな中、ECサイトの本格的な運用を求められ、事業として実際に稼働してみると自社内ではノウハウがないために課題が発生しやすく、なかなか成果が出ないというケースが続出しています。
ECサイトの流れとして3つのポイントがあり、それぞれに課題が生まれがちです。
- 集客
- 消費者を売場に集める
- 更新
- 内容を適切に更新する
- 売上
- 買いたい時に買ってもらう
更新についてはエスキュービズムでもECサイトの運用サポートサービス(https://ec-orange.jp/support/)をご提供可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
今回は特に集客にフォーカスして考えていきたいと思います。
変容する消費者行動
冒頭で述べた通りEC市場全体は拡大しているにもかかわらず、自社ECでは集客、売上共に伸びが見られないという状況が多く見られます。お客様が自社ECには来てくれていない原因が存在し、また購買プロセスにおいて離脱やバリア(障壁)が生じている可能性が考えられます。
購買プロセスの切っ掛けとなるのはまずは「認知系プロセス(Attention、Awareなど)」です。「自社ECをどのように消費者に認知してもらうのか」が本日の主題です。
商品の認知から購買プロセスがスタートするのはリアルもデジタルも変わりません。しかし、その場所とプロセスが大きく変化しています。
現時点ではECモールや家電量販店EC、アパレルECといった大手サイトに増加したEC利用者は一極集中している段階であり、初めに利用したECサイトから一歩を踏み出せていない状態にあります。
情報の精査がうまくできない、大手以外のECに恐怖感がある、ブランドの自社ECの存在を知らない、などの理由で自社ECにたどり着いていない消費者が多いと思われます。
これまで、デジタルチャネルといえばyahooやGoogleなどブラウザの「スタート画面」を押さえた者が勝ちと言われてきましたが、従来のブラウザで自発的に検索する行為自体が減少しつつあり、SNSや動画サイトなどでの受動的な情報収集をしたり、またSNS内で検索したりといった行動に変化してきていると予測しています。
特に、「検索する場所」は大きく変化しています。ブラウザの検索結果からコンテンツに到達していた時代から、今やニーズからダイレクトにコンテンツにたどり着くようになっているため、これまでの「ニーズにリーチさせるプロセス」が存在しなくなってきているのです。
ユーザーを直接引き込む仕組み作り
BtoC領域では情報に接触、認知してから訪問するまでが極めて短縮化されており、このプロセスに対応したECのリーチ方法が求められているといえます。
ここで、新しいECシステムの考え方である「ヘッドレスコマース」を導入いただきたいと考えています。
ヘッドレスコマースとは、ユーザーのタッチポイントをすべてECに変える手法です。
- キャンペーンページなどのLP
- 店舗スタッフの発信コンテンツなどのUGC(User Generated Content)
- 製品ページ
- ブランディングページ
- 店頭サイネージ
といった様々なコンテンツにEC機能を持たせることで、ニーズからの動線を最小限に短縮することができます。
お客様のいる場所が変化しているのであれば、その場所で購買できるようにしてあげることで、「集客」という課題を解決できるのではないかと考えています。
フロントエンドとECシステムを切り離し、API連携させることでヘッドレスコマースは実現できます。
「ECの集客」という従来の発想を切り替え、お客様のニーズにあったタッチポイントを量産していくことが今後自社ECを拡大していくうえで重要となっているのです。