セミナーレポートオンライン接客でオムニチャネルの課題を解決
~「接客力」がECサイトやオムニチャネルを次のステージへと導く~

2021年11月4日、広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS事業などを行う株式会社ジーニーと、タブレットPOSレジシステムやEC/DX/OMO/オムニチャネルのプラットフォーム提供を行う株式会社エスキュービズムの2社が、「オンライン接客」をテーマにしたオンラインセミナーを開催しました。

この2年の間に、オンラインの活用が大きく進み、多くの人々がECサイトでの購買を日常的に行うようになりました。
今後、より大きくECを躍進させるために必要と考えられる要素は「接客」です。

本セミナーでは、ECサイトやオムニチャネルを次のステージへと導くために欠かせないオンライン上での「接客」を、

  • 次のステージのために、なぜ「接客」が必要なのか
  • どのように「オンライン接客」が効果を発揮するのか

などの視点から解説しました。

コロナ後のオムニチャネル戦略

——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、オムニチャネル戦略の中でも「ECの売上向上に寄与するEC接客」について解説しました。

ECの成功条件が大きく変化

ECパッケージを提供、ECサイトの構築を行っている立場から見ますと、ECサイトの成功条件というものは種々あります。これまでは定常的に集客や売上の数値がベンチマークとして設定されてきました。
近年新たに追加された成功条件として「店舗のフォローアップ」が挙げられます。

いままではECサイトと店舗はECサイト単独で集客を行い単独で売上を上げればよい、または店舗に対して若干のアシストコンバージョンがあればよい、という関係性でした。ECと店舗では管理部門が異なり、目標が違うため役割も別々である、という考え方が影響していたと思います。

しかし、コロナ禍により企業としての考え方にも変革が求められるようになりました。長期・複数回に渡って発令された緊急事態宣言により、ECサイトに接触するユーザーが増加し、逆に店舗訪問客は減少する形になったのです。オンラインの比重が大きくなり、ECと店舗の役割は大きく変わりました。
書籍や映像、音楽ソフト業界などではEC化率が40%を超え、家電やAV機器、PC機器業界でもオンラインが主戦場になりつつあります。すべての業界でまんべんなくEC化率がアップし、市場規模が縮小していてもEC占有率は上がってきています。まさにEC化待ったなしの状況になっているといえるでしょう。

これによって引き起こされる問題もいくつかあります。

顧客行動の変容に伴う課題

EC化率が各業界で上がっているにも関わらず、自社ECの売上が伸びないという方もいらっしゃるでしょう。
大幅に増えたはずのユーザーが今どこにいるのかというと、大手モールにいるのです。
月刊ネット販売で実施した売上高調査「ネット販売白書」によると、Amazonや大手家電量販店が売上高の上位を占めています。
コロナ禍の影響でECを利用し始めたユーザーが、認知度が高く安心感のある大手サイトからまだ一歩踏み出せていない状況といえます。こうしたユーザーはブランドの自社ECサイトにはまだ流入してきていません。

店舗では専門的な知識を持ったスタッフに質問すれば良いのですが、ECサイトでは最適な商品を選び、購買を決定するために必要な情報収集を行って自己解決する必要があります。
このため、ECサイトでの購買経験値がまだあまりないユーザーにとっては敷居が高い状態になっています。
さらに、SNSの普及により積極的に検索を行わない、大手サイトのレコメンド機能に頼ってしまうといった、商品購買を判断するための前提知識が不足傾向にあると思われ、検索リテラシーや検索モチベーションが低下しているのではないかと推測されます。

アフターコロナの時代には、ユーザーの行動はさらに変化し、オンライン、オフラインのチャネル間を自由に行き来する「チャネルホッパー」になると考えています。
店舗で実物を見て確認をしたユーザーが、ECサイトで他社と比較して購入するショールーミングタイプの購買行動が増えていくのではないでしょうか。

比較検討の結果、他社ECで購買されてしまった場合、店舗スタッフのリソースが割かれて売上につながらず、自社商品の宣伝にはなるが結果的にはデメリットになりかねません。

さて、ショールーミングを行うユーザーの実店舗来店目的を見てみると、主に以下の4点になっています。

1、実物の感触を知りたい
2、店舗スタッフに質問をしたい
3、サイズ感を知りたい
4、まずはカジュアルに見たい

「実物を見たい」というニーズの中でもいくつかの要素があることがわかります。こうしたユーザー心理がどこで解決するのかといいますと、実店舗訪問により気になっている商品を「ほしい」と思わせ、購買に誘導できた時点となります。
この「ほしい」と思わせる効果に特化した実店舗形態がポップアップストアといえます。

勝ち残るために強化するポイント

オムニチャネルというのは、ユーザーの購買行動がオンライン、オフラインに関わらずどこで行われてもよい、という考え方です。商品に注目した場所はEC(オンライン)、体験は店舗(オフライン)、購買はEC(オンライン)、受け取りは最寄り駅のロッカー(オフライン)といったように、どんな場所、状態であっても同様のサービスを提供できることが重要です。

前段で解説したように、ショールーミングの傾向が強まる場合は、体験、説明といった機能要素が実店舗で行われるでしょう。今後、体験や説明をオムニチャネル化して推進していくことがECを成功させる上で重要なポイントとなっていきます。

1:体験のオムニチャネル化

リアルチャネルでの行動をデジタルチャネルへ共有することにより、ECでの購買をよりスムーズに行えるようになります。海外のアパレル店舗での施策を例にすると、店舗で手にとった商品がECやアプリで「閲覧商品」として残っていれば、検索して探す必要がなくなります。
チャネル間の分断をテクノロジーによって無くし、購買行動をシームレスに続けることができるように設計することが欠かせなくなっています。

2:説明のオムニチャネル化

チャットボットやWeb接客を使った案内というものも必要性が高くなってきています。
今後はデジタルとリアル双方のデータを活かし、店舗ならではの情報をデジタルでも活用できるよう相互補完を目指していく必要があるでしょう。

業績アップするオンライン接客のポイントと手法

——株式会社ジーニーは「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」というパーパス(企業の存在意義)のもと、企業の収益拡大・生産性向上など様々な課題解決につながるソリューションを開発・提供するマーケティングテクノロジーカンパニーです。石渡奈月氏によるセッションでは、オンライン接客のポイントについて紹介されました。

オンライン接客が重要な理由

コロナ禍をきっかけに、オンラインショップの利用頻度が増加したというユーザーが35%、2021年のEC市場は13兆円を超えると予測されている通り、ECサイトは消費者にとって欠かせないものとなりつつあります。
BtoCだけでなく、BtoBのECサイトにおいても変化がみられ、商談前に企業Webサイトなどを閲覧し、製品やサービスを絞り込んでいるケースが80%を超えてきています。

このように、ECサイトを始めとするWebサイトが、消費活動やビジネスにおいて非常に重要になりつつありますが、課題もあります。

ユーザーが感じる課題①商品を見つけられない

ページが開けない、欲しい商品にたどり着けない、商品情報がわかりにくい、といった理由により、購入に至らない可能性が高いことです。実店舗では実際に手にとって商品を確認したり、店舗スタッフに質問したりして解決できることが、オンラインでは難しいためです。

ユーザーが感じる課題②申し込みフォームが使いにくい

商品にたどり着いたとしても、購入時にフォームから離脱しているケースもあります。アカウント作成が必要だった、完了までのプロセスが複雑、あるいは長すぎる、といった理由が多くみられます。実際にフォーム到達後に離脱するユーザーは7割にのぼると言われます。

EC事業者の課題

EC事業者側の課題としては、新規顧客を増やしたいと考えているにも関わらず、運用リソース不足のため集客が困難である、という点です。

双方の課題を解決するためには、「Web上でもユーザーをおもてなしすることで、新規獲得・売上向上につながる」と考えられます。

オンライン接客力向上のポイントと実現方法

ユーザーの持つ「商品を見つけられない」「申し込みフォームが使いにくい」という課題を解決するためには、以下の改善が必要になってきます。

  • 商品を見つけやすくする---サイト内導線強化、及び提案力向上
  • 購入、申込みをしやすくする---フォーム改善

具体的にはサイトレイアウトの改善や、チャットボットの設置など、複数の施策が必要になってきますが、事業者側の課題として「リソース不足」が上がっているため、すべてを行うことは難しい状況です。
そこで、これらの課題を効率よく解決できるツールをご紹介していきます。

サイト内動線強化と提案力向上を同時に解決するツール

オンラインショッピングの際に、9割のユーザーがサイト内検索を行うというアンケート結果があります。そのうち、検索によってほしい商品が見つからなかった場合は8割がサイトから離脱しています。
サイト内検索を行うユーザーは「目的を持っている」ため、コンバージョン率が高いことが特徴です。つまり、サイト内検索ツールによって、サイトの動線強化や提案力が向上し、コンバージョン率が上がる可能性が高くなるということです。

サイト内検索のキーワード入力時に、候補語と商品情報を画像つきでサジェストし最短で商品ページに遷移させたり、絞り込み検索時に最適な商品を表示したりすることが、オンライン接客力の向上となります。

提案力向上とフォーム改善を同時に解決するツール

提案力向上とフォーム改善には、チャット型Web接客ツールが適しています。ロボットプログラムによる自動対応をメインとしているチャットボットに対し、より広い接客領域をカバーするのがチャット型Web接客ツールです。
有人対応のWeb接客チャット、FAQボットが商品の提案力を向上する施策、チャットEFO※がフォーム改善する施策に相当します。
チャットEFOは会話形式のフォームによって離脱を防ぎ、コンバージョン率を向上させるもので、入力の途中に購入商品の情報や特典情報を挿入することも可能です。

※EFO=Entry Form Optimisation、入力フォーム最適化

このように、強化したいポイントに合わせてツールを効率的に導入することで、課題の早期解決に繋がります。
ジーニーではこれらのツールを一気通貫でご提供しています。ぜひ一度ご相談ください。

※記載の内容はセミナー実施当時の内容です。現在の情報とは異なる場合があります。

まとめ

1、ECサイトの成功条件としてこれまでは集客や売上の数値が設定されていた
オンラインの比重が大きくなり、ECと店舗の役割は大きく変化している
→今後は成功条件として「店舗のフォローアップ」に関する数値も加わる
2、ショールーミングタイプの購買行動を取るユーザーの増加が見込まれる
ECを成功させる上で重要なポイントは「体験・説明フェーズ」のオムニチャネル推進
→店舗ならではの情報をデジタルでも活用できるよう相互補完を目指していく必要性
3、「ユーザーのサイト離脱」の課題を解決することで新規獲得・売上向上を目指す
事業者側の運用リソース不足を補完するためオンライン接客ツールを活用
→強化したいポイントに合わせてツールを効率的に導入し課題の早期解決に繋げる

登壇社紹介

株式会社ジーニー 【HP】https://geniee.co.jp/
株式会社ジーニーは、「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」というパーパス(企業の存在意義)のもと、企業の収益拡大・生産性向上など様々な課題解決につながるソリューションを開発・提供するマーケティングテクノロジーカンパニーです。
株式会社エスキュービズム
「Retail Innovation」をコーポレートスローガンに掲げ、流通小売業をはじめとする企業のICT/DX推進、オムニチャネルやOMOなど次世代型ビジネスモデルの課題解決を実現するシステムベンダーです。 リアル店舗とECシステム、コールセンターなど、複数チャネルの在庫・オーダーマネジメントが実現可能な自社開発システムパッケージを有しているため、完全ワンストップで企業のDX推進、デジタル化、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援いたします。