
2021年10月14日、MAツールの提供を行うスプリームシステム株式会社と、タブレットPOSレジシステムやEC/DX/OMO/オムニチャネルのプラットフォーム提供を行う株式会社エスキュービズムの2社が、「コロナ後のオムニチャネル戦略」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。本セミナーでは、ECやPOSという販売接点、MAという送客・想起を中心とする接点にて考えられる「これからの時代のEC、店舗、MAの生かし方」について、EC/オムニチャネルに必要な購買体験・戦略について解説しました。
2021年10月14日、MAツールの提供を行うスプリームシステム株式会社と、タブレットPOSレジシステムやEC/DX/OMO/オムニチャネルのプラットフォーム提供を行う株式会社エスキュービズムの2社が、「コロナ後のオムニチャネル戦略」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。本セミナーでは、ECやPOSという販売接点、MAという送客・想起を中心とする接点にて考えられる「これからの時代のEC、店舗、MAの生かし方」について、EC/オムニチャネルに必要な購買体験・戦略について解説しました。
コロナ禍により、ECに接触する人が増え、店舗に訪れる人が減っているという変化が見られます。ECの利用が日常的になり、オンラインの比重が増え、EC、店舗の役割が大きく変わりました。書籍・映像・音楽ソフトといったコンテンツ業界ではEC化率が40%を超え、それ以外の分野でも軒並みEC化率が増加しています。市場規模の縮小が見られる中でもECの占有率が上がっていることが調査結果からもうかがえます。
増加したEC利用者の定着、家庭でのネットショッピングでの支出割合も増加するなど、「ECを使うのが当たり前」といった状況になりつつあります。大手家電量販店などではEC化率が30%超と、実店舗以外のEC市場でもビジネスを拡大できているものの、売上ランキング上位の大手サイトにユーザーが一極集中しているということもまた事実です。
EC利用歴が浅い顧客層が、Amazonや楽天などの大手サイトから一歩踏み出せていない現状がありますが、今後ユーザーのモードチェンジ、シフトチェンジが発生する可能性は大いにあります。
実店舗を見てみますと、コロナ禍の自粛要請で訪問する人が減った店舗に対し、緊急事態宣言の解除により顧客が戻り、今後しばらくは盛り上がりが生まれると予想します。
しかし、この盛り上がりが一過性のものか、継続的なものかを見極める必要があります。
増加したEC利用者の中には、利便性を重視しそのままECでの購買を継続するなど、ビフォアコロナの状態に100%戻ることは恐らくないでしょう。
ネオマーケティング社の調査では、実店舗で購入するものとして「食品・飲料・酒類」というエッセンシャルな品目が割合が大きく、「衣類・アクセサリー・小物」「本・CD」はECサイトに集約されています。「家電」「については店舗、EC双方を利用するという回答が多く見られました。商品特性や購買状況に応じて、店舗とECを使い分けていることが分かる結果となっています。
実店舗で購入する理由としては「陳列棚に並んでいる商品全体が見たい」「商品を手に取って確認したい」といった理由が上位にあり、実際の店舗で体験しながら選びたいというニーズが見てとれます。
また、ECでの購買までの行動で、商品を選ぶまでに口コミサイトや掲示板などをチェックする、ブラウザ検索で商品詳細をよく見る、に続いて「実店舗に行って商品を確認する」「実店舗で値段の比較をする」といった行動が上位に挙げられています。
実店舗という選択肢は消費者の中で明確に存在することは確実で、実店舗で実現できる機能や要素が存在しているのです。
実店舗に来ても商品を確認するだけで実際にはECサイトで購入する購買行動をショールーミングといいますが、これまで実店舗側では忌避される行動でした。しかし、「実物を見たい」という顧客ニーズが今後も無くなるわけではなく、購買するECサイトがその店舗のものであればむしろ歓迎すべき行動に変化します。
店舗とECの役割をしっかりと設計し、相互送客できるようになっていけば、ショールーミングの課題は大きく改善できると考えられます。
世界では「リテール」と「エンターテインメント」を掛け合わせた「リテールテインメント」という言葉が生まれ、小売の世界をよりエンターテインメントに寄せて行こうとする動きがみられます。
ブロック玩具のレゴでは商品世界を体験してもらうための美術館のような店舗展開、ロンドン発のファッション小売ファーフェッチでは、アプリをダウンロードしているユーザーが店舗に入店するとすぐに顧客情報が認識され、適切なレコメンドを実店舗でも行うというオンラインとオフラインの融合が行われています。
店舗を徹底的に「体験価値提供の場」として切り分け、自社の世界観を顧客に体験してもらい、購買はECにすべて振るような店舗も出てきています。
これからのオムニチャネルでは、デジタルチャネルとリアルチャネルを近づけ、垣根をより低くしていくような施策が増えていくと考えられます。
デジタルチャネルの変化としては、デバイスがスマホ主軸になってきたこと、ECでの購買率の向上、利用している場所が変化したことがあります。リアルチャネルでも購買よりも体験に価値がおかれるようになってきているという変化があります。
これまでよりもオムニチャネルとして連携するチャネルは増加し、連携後のデータ活用においてもステップが多様になっています。
チャネル間の連携が強くなった結果、ユーザーはオンラインとオフラインをチャネルホップし、チャネル間を自在に行き来するようになりました。
EC、店舗の役割やあり方は従来と比較して曖昧になり、ECと店舗の選択はその時々の状況によって変わります。双方の情報を活かしあうことが必要になってきているのです。
といった、新しいオムニチャネルのパターンを実現するために、よりリアルとデジタルの機会・時間・接触点を問わない連携、融合が求められるようになっていくでしょう。
オムニチャネルを活かした業務アプローチによって、購買体験を変えていっていただければと思います。
ECの売上を上げるには、新規顧客の獲得、既存顧客の育成という大きく二つのポイントがあります。
新規顧客の獲得においては広告施策が有効な手段の一つですが、昨今サードパーティーcookie規制が始まっており、今後はリターゲティング広告などに非常に大きな影響があると予想されます。SEO対策やSNSといった広告以外の方法もありますが、これまでより新規顧客獲得のハードルは上がってきていると言えます。
今後は自社で保有しているファーストパーティーデータを活用し、既存顧客の育成によって収益を高めるということが重要視されるでしょう。ここがMAツールの使いどころになってきます。
既存顧客の育成で収益を高めるポイントは、「優良顧客を増やし解約を防ぐ」ことにあります。
どのように既存顧客を優良顧客にしていくか、というステップについては一斉アプローチから徐々に絞り込み、One to Oneアプローチへと移行させます。一斉アプローチではCVR率が0.1%~0.5%だったところを、セグメントすることにより4%程度にまで向上させることが可能で、さらに顧客一人一人に対して的確に情報を発信するOne to Oneアプローチではメール経由の売上が2倍になったという事例もあります。
しかし、BtoCのOne to Oneアプローチ施策を実際に行うには
といったハードルがあるため、障壁となって実施に至らないケースも多々あります。
効果の出るOne to Oneアプローチを実施するためには、高機能なMA(マーケティングオートメーション)ツールが必要になってきます。
高機能なMAツールでは、オンラインとオフラインのデータが柔軟に統合でき、そのデータで誰に何をすべきかを把握、実現し得るように、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)と分析機能を備えています。
高機能MAツールで求められる機能は、前述したOne to Oneアプローチの課題を解消するための以下の4点です。
これに加え、AI・機械学習の技術を活用することで、企業のマーケティング課題を解決し、CX向上とROI向上を実現できます。
また、店舗をお持ちであれば店内行動を分析することにより、オンラインとオフラインのチャネルをまたいだ形での販促も可能になってきます。
今後の店舗のあり方として、店舗は顧客体験を高める場であると考えると、来店客の動線データをオンラインのマーケティング施策と掛け合わせたアプローチも必要になってくるでしょう。