セミナーレポートデータ×DX – 新デジタル時代への準備と対策
~02. ECを飛躍させるデータ活用×ヘッドレスコマース

2020年11月5日から、デジタルマーケティングに関わるソフトウェア製品を自社開発しているスプリームシステム株式会社と、ワンストップでDX推進、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援する株式会社エスキュービズムの2社が、「データ×DX – 新デジタル時代への準備と対策」というテーマで全三回にわたりオンラインセミナーを開催しました。第二回目となった本セミナーでは、自社ECを発展させるために、データをどう見てどう活用すべきかの解説と、 ECに持たせるべき新たな多面性や、新たな顧客接点を創造する方法についてについて解説しました。

データ分析に特化したBtoC向けMAツール「Aimstar」

——スプリームシステム株式会社はソフトウェアとサービスを活用しOMO推進を目指しています。久野 祐治氏によるセッションでは、One to One施策を実施する上で有効となる分析機能付きの高機能MAツール「Aimstar」について紹介が行われました。

BtoC向けMAツールに必要な4つのポイント

BtoC向けに特化されたMAツールには4つのポイントが必要になってきます。

1:柔軟なデータ構造

Aimstarでは、オンライン、オフラインで取得される多様なデータソースをデータ連携し、統合されたデータ基盤となるDMP(データマネジメントプラットフォーム)の機能を持っています。DMPを元に、チャネルを横断した効果的なPDCAサイクルが自動化できます。

新しい分析やキャンペーン施策のためにいちいちデータを作るのは時間もコストもかかりますが、分析、施策設計、実行、効果検証のPDCAを業務負荷を下げながら運用が可能です。

Aimstarにはお客様に合わせ、柔軟なテーブル構造を持たせることができるという特徴があり、顧客マスタ以外にも例えばペットの情報を付加してペットの日齢に合わせたメールマーケティングや、ペットフードが無くなる前のプッシュ通知といったシナリオを作ることができます。

もう一つの特徴が、Aimstarはデータセットが不要な汎用性に優れたデータモデルであるという点です。一般的なMAツールでは、分析行う度に新たなデータセットの用意が必要になり、時間もコストも都度かかってしまいますが、Aimstarではあらかじめ分析機能が搭載されているため、生データを取り込んだ後に非定形型検索を行っていただくことが可能です。分析ごとにデータを加工する必要がなく、時間とコストを削減できます。

2:深堀分析

MAツールでは、購入商品、購買間隔、購買チャネル、累計金額、初回購入商品など、様々な切り口を軸にした施策立案が重要になってきます。そのため、データをどれだけ深掘りして分析できるかが非常に重要です。

Aimstarではデータベースや統計解析などの専門的な知識がなくても分析が可能なテンプレートが、100種類以上標準機能として搭載されています。顧客軸、商品軸、媒体軸などの各テンプレートでは条件が設定でき、データの分析と抽出ができます。Aimstarは2001年に開発され20年間近くクライアント様の要望を製品に反映させてきました。100を超える分析テンプレートは、実際に業務において必要とされてきた分析機能です。

さらに集計結果画面から気になるセグメントを抽出し、絞り込んでいくことで深掘りができる仕様になっています。深掘りできると共に分析の簡便さもAimstarの特徴です。

3:きめ細かいシナリオ設計

第一回でもお話したように、売上アップのための持続可能な施策として3つのトリガーをご紹介しました。

  • ユーザー行動トリガー
  • 興味あり商品トリガー
  • 企業トリガー

各施策を組み合わせ、分析結果に応じて高速で施策のPDCAを回すということがシナリオ設計の上では重要なポイントになってきます。

Aimstarでは単品通販用、アパレル用など業種別のシナリオテンプレートを用意しています。分析、シナリオ、効果検証の各機能が揃っていますので、ツール導入から立ち上げが早期に行えることが特徴です。売上をアップさせる施策を早期に実現可能になっています。 お客様ごとの複雑なシナリオも、分析画面からパーツ化し、フローチャート形式やウィザード形式で作成できるため、カスタマイズが困難であるということもありません。

また、人手による仮説検証では改善が頭打ちになってしまう、キャンペーンがパーソナライズされていないため効果が出ないといった企業マーケティングの課題をAI・機械学習の技術活用により、効率的に売上向上と業務負荷の削減が行えます。

4:マルチチャネル対応

お客様に合ったチャネルというのはそれぞれ異なるため、マルチチャネルに対応していることはMAツールの重要なポイントです。DM・カタログ、メール、LINE、コールセンター、WEBサイト、WEB接客など、デジタル、アナログ複数対応で、チャネルミックスで施策を組めることがMAツールに求められます。

MAツールに組み合わせるチャネル例として、Aimstarの姉妹製品のWEB接客ツール「Webica」があります。一般的なWEB接客として、過去の購買行動分析から条件を設定し、WEBアクセス時にポップアップやレコメンドを行うという施策があります。

Webicaの場合、Aimstarと連携することによりWEB以外の行動もトリガーにでき、複雑なセグメント設定やチャネルミックスでの施策実行が可能になります。

このように、Aimstarはお客様一人一人に最適なオファーを実行できるキャンペーン管理ツールとして活用いただけます。分析からキャンペーン管理までワンパッケージで提供しているというのが大きな特徴となっています。

BtoC向けのMAツールとして提供している分析機能付きの高機能MAツールは、One to One施策を行う上で有効な手段となり得ます。企業マーケティングの効率的な実施をする上でも、導入検討をおすすめいたします。

Afterコロナに考えるべき新たな顧客接点の創出を実現するヘッドレスコマースの考え方

——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部の窪田菜美のセッションでは、「ECで新たな出会いを提供する考え方とその施策」について解説しました。

自社ECを大手ECとは違う出会い方ができる場にするには?

前回の「データ×DX – 新デジタル時代への準備と対策~01.時代の変革期に行うべきデータ分析×EC」では、アフターコロナに向けて軌道修正すべきECのあり方として、「脱大手EC」「顧客の購入意欲を高める自社EC」という方向性を示しました。

今回は自社ECが大手ECの模倣から脱し、どのように顧客と出会える場にできるかを解説します。

まず、大手ECとは「主戦場をずらす」ことです。お客様が商品を欲しいと思ってから、購入し、届くまでは大手ECが強化しているところです。自社ECではその以前のポイント、商品を知ってから欲しいと思うまでを強化していくことが重要だと考えられます。そして、欲しいと思った瞬間に逃さず購買に繋げる必要があります。

大手ECが提供する商品の出会いとは、単なる商品掲載やレコメンドが大半ですが、自社ECで提供すべき出会いはブランド力・商品力・企画力を活かして顧客の「商品を知る」ところから設計していくことでしょう。

では、消費者はどこでブランドや商品に出会うのかというと、SNS、動画、店頭、雑誌、WEBサイトなど、チャネルは多岐に渡ります。消費者の行動は複雑化、多様化しており、なかなか一つには絞り込めません。

「自社ECは一つだけ」から脱却する

そこで、顧客接点を点在化させて顧客が広く出会えるような環境づくりを行い、一点突破ではなく多方面からアプローチしていく必要があります。ポップアップショップのような、商品訴求と購入がシームレスに繋がった場をECを使って複数提供することにより、多彩な顧客接点を作りだすことができます。

従来の購買プロセスでは、「商品を知る」「興味を持つ」「欲しいと思う」というマーケティング施策の部分と実際のECによる「購入」までが遠く、分断されていました。この分断をなくすことにより、気になってから欲しいと思った瞬間の購買行動を喚起できるようになります。

多様化した価値観に対して、多様化したECで購買体験を用意するために、新たな顧客接点を創出していくべきと考えます。自社ECは一つだけ、という固定観念から脱却する必要があるのです。

ECの新しい考え方「ヘッドレスコマース」

ヘッドレスコマースとは、これまでECシステムと一体になっていたUI(ECフロント)を切り離し、目的や施策に合わせてUIを付け替えていくような新しいECサイトの考え方です。UIにはWEBだけでなくリアルも含み、デジタル施策以外にも実店舗などで顧客接点を創出、新しい顧客を獲得する場となり得ます。

商品を知り、興味を持ち欲しいと思ってもらえるようなアプローチが多彩になることと、すぐにその場で購買行動を起こしてもらえる「離脱させないECシステム」であること、この二点がヘッドレスコマースの特徴といえます。

顧客の多彩な価値観、変化に対応しながらスピード感のある「仕掛けるEC」をヘッドレスコマースで実現し、販促力を強化していっていただければと思います。

VRや店頭サイネージから新しい購買体験を生み出す

コロナ禍によってECを新たに利用する消費者が増加する中、デジタルに不慣れな層やこれまでとは異なる価値観を持つ層も加えて幅広い顧客層として捉え、大手EC式ではない多彩なECでアプローチする必要が出てきています。

VRショップの中で店舗スタッフの遠隔操作による接客を受け、まるで実店舗で買い物をするように購買体験ができるといった例も既に生まれています。感染症予防で実店舗を訪問する頻度が減少していますので、店舗での購買体験をオンラインで提供することができるのはVRコマースの大きな強みです。

また、店頭サイネージで商品を知り、その場でECに送客するという施策もヘッドレスコマースでは可能になります。リアルの世界にECを取り出すことで、新たな購買体験を生み出している例です。

実店舗での購買体験は長らく変化がありませんでしたが、オンラインの進化に慣れた消費者に新しい接点を提供することで、実店舗の可能性を広げることもできるでしょう。

まとめ

1、BtoC向けのOne To One施策には分析機能付きの高機能MAツールが有効
オンライン、オフラインのデータを統合したデータ基盤を分析で深堀りし、きめ細かいシナリオ設計に活用する
→お客様一人一人に最適なオファーを実行できるキャンペーン管理ツールの導入により効率的に売上向上と業務負荷の削減が可能
2、自社ECを大手ECとは違う出会い方ができる場へ
消費者が「商品を知ってから欲しいと思うまで」のプロセス強化していくことが重要
→顧客接点を点在化させて顧客が広く出会えるような環境づくりを行い、多彩な顧客接点を創出
3、Afterコロナに持つべき自社ECのあり方
多様化した顧客の価値観に合わせた「商品を知る」から「購入する」を提供
→ヘッドレスコマースを使って、多様なECを点在させ顧客の「欲しい」を誘発させる

登壇社紹介

スプリームシステム株式会社式会社 【HP】https://www.supreme-system.com/
スプリームシステムは、20年近くデジタルマーケティングに携わってきました。
WEB上の購買や行動を中心とした「デジタル」、実店舗での購買や店舗内での行動を中心した「リアル」を融合したOMOソリューションの提供を通じて、スマート社会への貢献を目指しています。
株式会社エスキュービズム
「Retail Innovation」をコーポレートスローガンに掲げ、流通小売業をはじめとする企業のICT/DX推進、オムニチャネルやOMOなど次世代型ビジネスモデルの課題解決を実現するシステムベンダーです。 リアル店舗とECシステム、コールセンターなど、複数チャネルの在庫・オーダーマネジメントが実現可能な自社開発システムパッケージを有しているため、完全ワンストップで企業のDX推進、デジタル化、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援いたします。