セミナーレポートコストダウンをやり切った貴社へ!
リテールDXを牽引する3社からのメッセージ

2021年3月16日、「BYODアプリの活用により、店舗業務マネジメントの質向上支援を行うナレッジ・マーチャントワークス」「ワンストップでDX推進、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援するエスキュービズム」「センサーやAIカメラを活用して顧客行動の分析・OMOの実現支援を行うスプリームシステム」という3社が、「顧客体験価値(UX)の向上」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。
どのような施策で3社は店舗でのUXの変革を支援しているのか、導入企業の事例を交えて解説しました。

顧客行動の分析・OMOの実現による顧客体験価値(UX)の向上

——スプリームシステム株式会社はソフトウェアとサービスを活用しOMO推進を目指しています。久野 祐治氏によるセッションでは、「顧客行動の分析・OMOの実現」によってUXを向上させるシステム「Moptar」が紹介されました。

OMOの概念を取り入れたレコメンドの重要性

コロナ禍によってOMO(Online Merges with Offline)の概念がより広まり、リアルはデジタルの一部であるという考え方でビジネスを進める企業も増えています。実店舗であってもお客様のデータを様々な形で取り込みつつあるのです。
これまでは商品をお客様におすすめする「レコメンド」はWeb閲覧データを元に行われていましたが、OMOの概念を取り入れたレコメンドは店舗内の顧客行動を元に行われるようになります。スプリームシステムでは、顧客行動を計測・分析することで、今回のテーマである「顧客体験価値(UX)」を高めていくことを目指しています。

Moptar:新しい動線分析プラットフォーム

動線分析プラットフォームMoptar(モプター)により店内でどこに立ち寄ったのか、どの売り場に滞留したか、どの商品を手に取ったのか、といった行動を計測・分析し、店舗で買わなかった商品をレコメンドすることができます。スプリームシステムではこれまで店舗系のデジタルマーケティングを支援してきた経緯から、Moptarも小売店を中心に実店舗をお持ちの企業様で多く導入いただいています。
Moptarはセンサーまたはカメラ+AIによる人検出、動線追跡、データ解析・活用の3つの機能に分かれます。

高精度な動線追跡

高精度の近赤外光センサーまたはカメラは天井に設置し、検出と追跡を行います。
センサーやカメラで検出した対象物の動線追跡には、パーティクルフィルター方式を用いることで一人一人の動線を取り違えることなく長時間追跡をしています。人や物の影に入っても移動の速度や方向のデータ分析で存在確率を予測し、予測範囲内で人が検出された場合に継続して動線追跡が可能な方式です

リアルタイム検知&アクション

特定行動を定義することで防犯やリアルタイムプロモーションに活用いただける機能です。特定行動はたとえば「レジにn秒以上留まっている人」「特定の売場にn秒以上滞在している人」「A売場からB売場に移動した人」というように条件分岐を設定していきます。それにより、レジにいる人を店員と判定したり、店員に接客を促す通知を出したりといった活用方法があります。

すぐに使える動線分析テンプレート

従来可視化できていなかった顧客の行動プロセスがMoptarによって数値として出せるようになるため、動線情報から店舗の課題を洗い出し、具体的な改善施策の実施へと繋げられます。
Moptarでは店舗様の見たい指標を数値化するだけでなく、動線マップやヒートマップ、ダッシュボードで可視化しており、ビジュアルでも確認できるようになっています。

Moptar活用イメージ

実際にMoptarをどのように活用されているか、事例をご紹介いたします。

事例1:コンビニ
買上率と平均停止時間・回数の指標を用いて売場改善

買上率が高いが平均停止時間が短い効率的な売場では、新商品を投入して来店客の興味を引くような改善を行うなど、指標を元に売場傾向を象限に分けて分析し、効果的な改善施策を行って売上向上を図ることができます。

事例2:アパレル店
購買行動のルートを可視化し、購買までの成功要因を分析

これまで視覚化されておらずブラックボックスになっていた「入店から購買までの動線」を細かく分析し、入店後の行動を数値化しました。購買に至る成功要因、または購買に至らなかった要因をプロセスごとに深堀りし、適切な施策によって改善を行いました。

事例3:
顔認証システムを利用した属性付与

顔認証システムとMoptarの連携によって、動線分析だけでなく性別や来店回数などの属性を付与することができます。属性付与により深みのある情報を取得できるようになります。

事例4:コスメ売場
来店客の行動履歴を元に、興味に基づいたカウンセリングを実施

来店後にどの売場に立ち寄ったか、滞在時間はどのくらいかを可視化して表示します。興味を示した売場の商品も併せて提案するパーソナルレコメンデーションを実施、アップセルと顧客満足度の向上を図ることができます

事例5:
サイネージを使った店内広告

Moptarで店内行動を分析し、顧客ごとに商品への興味関心度を取得、店内サイネージでリアルタイムプロモーションを行います。

このようにスプリームシステムでは、オンライン・オフラインのデータを統合し、顧客体験価値(UX)の向上を目指してOMOの実現をしていきたいと考えております。

顧客体験(UX)を高める攻めの店舗

——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、これからの店舗が目指す姿と考え方、新たな挑戦に必要なシステムについて解説しました。

在来型店舗の向かう先

時代の変化やECの普及によって店舗は大きな転換期を迎えています。従来通り販売に特化しただけの店舗ではコストがかかりすぎるため、コストダウンと顧客体験の向上を目指して新しい形の店舗を模索している企業も多いと思います。

在来型店舗のランニングコストを下げていこうとすると、人件費の削減やテナント費用の削減が挙げられますが、究極までコストダウンした場合、最終的に自動販売機型になってしまいます。しかし、自動販売機型のビジネスは結局部分最適にしかならず、また特定のものにしか使えないという構造的な欠点もあり、ビジネスとしてスケールしていくことは難しい状況です。

つまりコストダウンと売上アップは別軸で考えなければならないのです。これからはコストダウンではなく売上アップを目指し、店舗パフォーマンスの最大化をどのように行っていくかを考えていかなくてはなりません。そのために「自社の強み」「消費者のメリット」を整理し、どのような顧客体験を提供するかを考え、店舗・顧客の分析をした上でICT、DXの活用、店舗設計へと視点のシフトをしていくことが在来型店舗の向かう先ではないでしょうか。

目指すべき店舗の姿とその考え方

コロナ禍によって消費者行動はオンラインへとシフトし、定着化しつつあります。その変化は劇的で、10年かけてゆっくり増加する予測値が1年で起こりました。あらゆる年代でEC化率の増加がみられ、様々なリテラシーの消費者がネットで買い物をするようになっています。

これからの店舗では顧客の購買行動にアプローチしていかないと、存在意義が問われることになるでしょう。企業目線で作られていた売り場を、消費者目線で「買う場」へ転化させ、店舗に行く理由となる「顧客体験(UX)」の提供が不可欠になってきます。

消費者心理を考える

消費者が「欲しい」と思う心理を分析すると概ね以下の4パターンになります。

  • 魅力的
  • 必要
  • 便利
  • 費用対効果

これらのパラメータを一定数以上超えると購買に結びつきやすくなるのですが、4の費用対効果に関しては価格勝負になってしまいます。競合にECも含まれ、価格競争では大手ECに勝つことは難しいでしょう。
そのため、まずは1~3の要素を使って消費者が「欲しい」と思わせる店舗設計を行う必要があります。

  • 店舗、商品のブランド力を生かした店舗設計
  • ひたすらに買いやすい店舗設計
  • 機能を体験できる店舗設計

さらに、消費者が接触する「メディア」の特性を考慮しておく必要があります。TVや新聞雑誌といったレガシーメディアよりも、WebメディアやSNSなどに接触する時間が大幅に増えているという調査結果があります。

出典:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 「メディア定点調査2020」

同様に、店舗がレガシーとすると、Web/ECはニューノーマルといえるでしょう。この中間、OMOな領域を目指し、よりリアルとデジタルが融合した場を提供していく必要があります。

新たな挑戦に必要なシステム

ショップスタッフがインフルエンサーとなり店舗の内外で商品の良さを伝えられるような仕組み作りや、店舗で買ってもネットで買っても「一人のお客様」として認識できるようなシステム構築など、あらゆるチャネルでお客様を正確に捉え、正確に商品を伝え、正しく販売ができる環境作りが求められるようになってきます。

大きな変化が起こっている現代において、適切な顧客体験(UX)を提供することこそ今後店舗が生き残っていく鍵となります。そのためには顧客と在庫をきちんとおさえ、基盤を創っていかなくてはなりません。

エスキュービズムでは顧客体験の実現にフレキシブルに対応できる「ORANGE OMS」をリリースしております。OMSはオーダーマネジメントシステム(受注管理システム)で複数の販売チャネル、物流拠点などの情報を一元管理し、オムニチャネル/OMO時代の多彩な販売方法も実現可能なシステムとなっています。

ぜひ新しい店舗づくりのアシスタントとしてご検討いただければと思います。

ORANGE OMS製品サイト:https://orange-oms.jp/

専用アプリを活用した売場/マネジメントレベル向上

——店舗マネジメントツール「はたLuck」を提供しているナレッジ・マーチャントワークス株式会社。テクノロジーとヒューマンリソースを活用した経営変革の支援を行う同社のコンサルタントを務める佐藤 晶紀氏が「これからの店舗運営に必要な、専用アプリを活用した売場/マネジメントレベル向上」について解説されました。

顧客体験(UX)向上のために必要なこと

店舗管理(マネジメント)に投資をし、実行力100%の店舗運営を目指しませんか、ということが本セッションの大きなメッセージです。
顧客体験(UX)向上を図るには、まず本セミナーのような機会を通して店舗側の思考を変え、実際に顧客の声を聞きながら店舗運営の改善を行うというように、思考と行動をアップデートしていく必要がある、というのはここまでの二社のセッションでお伝えした通りです。

実際に店舗運営の改善を行うには意図を理解してきちんと動けるスタッフがいることが前提になってきますが、店舗サービス業の構造的な問題である非正規雇用問題、シフトワーク問題が店舗運営においてムダとムラを発生させ、店舗実行力が100%にならず生産性の低下を招いているという現状があります。
この問題を踏まえておかないと、せっかくの店舗設計が絵に描いた餅になりかねません。

店舗運営の課題と解決策としての店舗DX

課題1 店舗マネジメントの非効率の解消
SV(スーパーバイザー)からメールや電話で連絡をし、本部からFAXで一斉に連絡が入り、その情報を店長が収集してノートに転記、各担当に指示、引継ぎのためにまたノートに記入し、終了したらボックスに入れる……というように、指示が届いてから実行完了までに無駄が多く発生してしまっています。
またコロナ禍によって店舗や本部間での行動制限が課されるようになり、店舗管理の難易度が上がっている企業様も多くなっています。
課題2 店舗への情報共有との実行確認のコスト軽減
店舗内での行動が見えず改善が図れないという課題についてです。キャンペーンの結果はPOSで分かりますが、POPや売場はうまく作れていたか、ネックとなっていたポイントはなかったか、といった原因特定ができないことによる機会損失が発生している可能性があります。

この二つの課題に対する解決策がBYOD(Bring Your Own Deviceの略)の活用です。手軽に使える会社支給のタブレットと個人所有のスマートフォンで情報共有をおこなって実行度を高めていくことが私たちの指し示したい店舗DXの方向性です。その方向性に合致し構造的問題を解決するのが店舗DXツール「はたLuck」です。

「はたLuck」の機能紹介

本部や商品部のSV向け、現場の店長・従業員向けといったプレイヤーごとに、店舗状況のモニタリング、店舗現場での実行をサポートする、店舗マネジメントが行えるツールです。
トーク機能によるコミュニケーションや連絡ノートの電子化、スタッフのモチベーション向上、電子マニュアルの格納、シフト管理、多言語対応といった機能をオールインワンで搭載しています。

アプリの利用状況はデータとして管理され、月次レポートで確認、改善を行うことができます。さらに店舗内の関係性をネットワーク図で確認でき、店舗の人間関係改善に寄与しています。

はたLuckにより、情報共有が適切になされ、SVの臨店回数削減や情報共有にかかる時間の削減など店舗マネジメントの非効率の解消につながります。
またモバイル端末の有効活用により、店舗内行動が可視化され、情報共有と実行確認のコスト軽減となり、販売機会の損失も減少が実現できます。

はたLuck 製品サイト:https://hataluck.jp/

「はたLuck」事例紹介

事例1 売場レベルの向上施策「売場自慢」
ある食品スーパーの企業様では、売場担当者が毎日売場写真と売上目標の共有、売上結果の報告を行いました。SVや店長からのフィードバックをグループ全体が確認できるため、指導回数、人員を大幅にアップでき、他店の売場改善を自店にも活かすことができる取り組みとなりました。
売場つくりのスキルが向上したことで売上達成にも影響し、ネガティブなフィードバックが減少するという効果もありました。
事例2 マネジメントレベル向上施策「留学制度」
あるレストラン運営企業様では、キャンペーン・イベント施策の効果最大化のために本部SVと店長とのやりとりを他店にも見えるようにしました。
これにより、優秀な店長のナレッジ・ノウハウを他店店長も学ぶことができる、いわば留学と同様の仕組みができました。ナレッジ・ノウハウの横展開で自店の振り返りと改善を行い、全体のマネジメントレベルが向上した事例です。

まとめ

1、店舗での顧客体験価値(UX)向上のために、まずは顧客を知る
視覚化されておらずブラックボックスになっていた店舗での購買行動の把握が必要
→新しい動線分析プラットフォーム「Moptar」により店舗内の顧客行動を分析し、OMOの概念を取り入れたレコメンドや接客を行うことができる
2、企業目線の売り場でなく、消費者目線で「買う場」を提供する
  • 販売に特化しただけの店舗ではコストがかかりすぎ、また消費者行動はオンラインへとシフトしつつある
  • 顧客の購買行動にアプローチできる仕組みを作る必要がある
→あらゆるチャネルでお客様を正確に捉え、正確に商品を伝え、正しく販売ができる環境作りを行うための基盤としてORANGE OMSを提案
3、非正規雇用問題、シフトワーク問題を解消し店舗の生産性を向上させる店舗DX
店舗マネジメントの非効率の解消、店舗との情報共有及び実行確認のコスト軽減が急務
→店舗DXツール「はたLuck」により本部SV、店長、従業員などすべてのメンバーに情報共有が適切におこなえ、マネジメントレベルの向上につながった。

登壇社紹介

ナレッジ・マーチャントワークス株式会社 【HP】https://kmw.jp/
リンクアンドモチベーションで小売・飲食・サービス業界の組織コンサルティングに従事していた代表 染谷が2017年に創業した、リテールテック領域のスタートアップ企業です。「シフトワーカーエクスペリエンス(アルバイトスタッフの仕事の体験価値)の向上」を掲げ、店舗内の情報共有や教育・評価、シフト管理等の機能を搭載した店舗マネジメントツール「はたLuck(R)」を通じて、業界の生産性向上を支援しています。
スプリームシステム株式会社式会社 【HP】https://www.supreme-system.com/
スプリームシステムは、20年近くデジタルマーケティングに携わってきました。WEB上の購買や行動を中心とした「デジタル」、実店舗での購買や店舗内での行動を中心した「リアル」を融合したOMOソリューションの提供を通じて、スマート社会への貢献を目指しています。
株式会社エスキュービズム
「Retail Innovation」をコーポレートスローガンに掲げ、流通小売業をはじめとする企業のICT/DX推進、オムニチャネルやOMOなど次世代型ビジネスモデルの課題解決を実現するシステムベンダーです。 リアル店舗とECシステム、コールセンターなど、複数チャネルの在庫・オーダーマネジメントが実現可能な自社開発システムパッケージを有しているため、完全ワンストップで企業のDX推進、デジタル化、オムニチャネル/OMO対応のシステム導入を支援いたします。