EC新時代において自社ECの利益率をアップするためにやるべきこと
——コーポレートスローガンに「リテールイノベーション」を掲げ、企業のDXを支援する株式会社エスキュービズム。ソリューションデザイン部 部長の岩井源太のセッションでは、在庫の最適化など自社ECの運用体制を見直し利益率を上げる考え方について解説しました。
1、コロナで起こったオンラインの変化に対応する
エスキュービズムはDXやOMOの視点からビジネスを構築しており、さらにコンサルティングサービスも提供しています。そのため、様々な可能性について未来予測を行っていますが、2019年コロナ禍前に立てていた予測よりも速いスピードでオンライン化が進んでいる現状があります。5年から10年分、EC化率が進んでいるというデータが出始めており、おそらく今後この状態が後退してもとに戻ることはないだろうと思われます。
年代別にECを利用する割合を見ても、すべての年代で増加が見られます。特に40代では20%以上の増加となっています。
また、この増加した利用者層はそのままオンラインに定着する傾向がみられます。これは日本だけでなく世界的な動きで、欧米各国の中でもEC化率が低かったイタリアやスペインなどでも同様の傾向となっています。
これまでオフライン中心だった行動起点がオンライン中心になっている一例として、お店に行く前にかならず検索をし、もしその段階で買えるのであれば買ってしまうというような購買行動が挙げられます。
EC利用を避けていた消費者が流入することで、顧客のデジタルリテラシーが細分化したため、多様な顧客層に合わせたアプローチが必要になってきています。
2、「在庫最適化」で考えるべきこと
ECや店舗でのビジネスでは、本来いかに「プロパー価格で最適なタイミングで在庫を売り切るか」が重要なはずです。不要な在庫を積まないことが、小売ビジネスの利益率を上げ、さらに環境への負荷低減にもつながります。
できる限り不要な在庫を持たないようなビジネスやシステムを構築していく必要があります。
不要な在庫を積まないためのICTのアプローチは最近では2つあります。
(1)計画系AIを活用し、無駄な発注をしないように需要予測の精度を上げる
近年のIT業界のトレンドであり、PoCが盛んに行われた分野でした。しかし、需要予測の精度を上げるには「AIの精度の問題」と「アクシデント対応の問題」が大きな壁となり、未だ実用レベルには至っていない状況です。まだ学習データが最適化されていないこともあり、今後の精度向上が待たれます。
(2)商品販売力を強化し、商品回転率を上げ、ユーザーを購買へと誘導する
需要予測AIと比べると古典的手法ですが、マーケティングアプローチやマークダウンの適切な指示によってユーザーを「買う気にさせる」ことで商品回転率を上げることが効果的であるという方向性です。
「最適な場で、最適な在庫を、最適なお客様に売ること」が重要です。
3、運用体制を見直し利益率を上げる考え方
運用のファクターについて、今は鶏が先か卵が先か、というような状態になっています。
消費者ニーズへのリーチ手法と店舗の有閑リソースの活用はどちらを先に進めるか、ということではなく、両輪で回していかなければならないでしょう。
コロナ禍で変化した消費者ニーズに対応
今までと同様のWEBマーケティングでは細分化した消費者ニーズに対応しきれなくなっているため、運用体制の確立が急務です。
また、消費者行動が変化した今、ECの運用コストを削減するのではなく、新規顧客流入の獲得戦略を作り、その上でトップラインを伸ばす方向で考えるべきでしょう。
単純なWEB広告からの流入だけでなく、ライブコマースやSNS、動画広告などが密接に各チャネルがリンクしているため経路も複雑化しています。
多様化されたEC購買シチュエーションで、それぞれに適したスキルが求められる中、店舗スタッフの高い接客スキルをEC運用に活用してみてはいかがでしょうか。
販売チャネルは一つではなく、大手モールの出店やSNSからのマイクロなECサイト、単品購入に特化したサイトなど複数のECのサイトで多様な消費者に対応していくために、エスキュービズムではヘッドレスコマースの導入を提案しています。ヘッドレスコマースは、複数の顧客接点とECサイトをAPIで連携させ、最適な顧客体験を提供する仕組みです。
「ほしい」と思った瞬間にその場で購買まで提供できるようになっていなくてはならないのです。