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ReTHINK!
DIGITAL TRANSFORMATION
なぜ今、リテールイノベーションが必要なのか

“BETTER”ではなく
“GOOD”の時代

今までリテール領域の主な競争力の源泉は、他社・他店に比べて、どれくらい安いか、品ぞろえが良いか、立地がいいか商品(製品)がいいかなどでした。
そのため、企業戦略においては、他社・他店よりどのくらい差をつけられるかというdoing things betterこそが行動原理であったと言っても過言ではないでしょう。

しかし現在、効率や価格、品揃えなどを追求するとモール型ECサイトには勝てません。
モール型ECサイトは多くのブランドを巻き込み、無限の売り場を提供する、巨大なプラットフォーマーになっているからです。
また、流通状況も整えており、不便さを感じさせない快適な購買環境を実装しています。

こうした状況において、これからは“あえて選ぶ”理由を提供できるかどうかが重要となってきます。
つまりdoing different thingsこそが競争力となるのです。

「あえてその店舗に行く」「あえてそのサイトに訪れる」「あえてそのアプリをダウンロードする」といった心理設計・行動設計・習慣設計が求められます。

例えば、店員」によるお客様への対応力が強みとするならば、テクノロジーによってそれ以外の業務負担をなくすことを目指すべきでしょう。
顧客へのリーチ力に強みがあるとすれば、その顧客データを基に、one to oneマーケティングによってさらにきめ細やかな来店誘引を行うことができるかもしれません。

「良い・悪い」から「好き・嫌い」へと行動が変容している生活者に対し、企業も他社と比較するBETTERから、選ばれるための自社独自の”違い”をどこでだすかというGOODへと戦略を変えなければならないのです。

比較がメインになる“BETTER志向”
気に入るかどうかが主要な“GOOD志向”

リテールとは、企業や業界ではなく、“業態”

リテールとは、小売企業や小売業界だけを指しているわけではありません。

メーカーや飲食、ホテル、航空会社、BtoB、、、あらゆる企業・業界が、人が集まる場をどう設計するか、人に行動させる仕掛けをどう演出するかという、小売企業が最も得意としてきた領域に足を踏み入れています。そこではリテールのノウハウとリテールテックこそが重要となるのです。AIやIoT、VRなどのテクノロジーはそのままでは単なるツールに過ぎず、リテールのノウハウと相まって、初めて経営において大きなインパクトが起こるのです。デジタルとリアル領域というフロントサイドや商流や物流などバックサイド、そして商品という5つの領域において、リテールテックとリテールのノウハウを結びつけて新たな価値を創造することが求められています。

デジタルとリアルを融合させるか、
テクノロジーでリアルを進化させるか

オムニチャネルは「いつでもどこでもつながる」ことを目指して構築されます。そしてデジタルとリアルを融合させるには、まずはデータの統合・一元化が必要です。

一人のお客様に対し、店舗ではAさん、ECではBさんと異なったIDが紐づけられていることや、そもそもデータ自体が存在しない状況など、その企業が置かれている状況はさまざまなので、まずは自社のデータ保持環境の整理が必要です。テクノロジーへの向き合い方は、今、大きく2つに分かれています。一つはテクノロジーによって、デジタルとリアルを融合させ一元化するオムニチャネル。もう一つは主役をリアルとして、リアルの良さを伸ばし、不便さを解消するためのテクノロジー活用です。

例えば、接客を望んでいるお客様がどうかを見極められたり、今までの購買履歴をスタッフがすぐに確認できるなどがテクノロジーで実現できるとさらにサービス力は上がるでしょう。

例えば「キャッシュレス化」。キャッシュレス化といっても、消費者が自分で会計をするセルフレジやセミセルフレジもあればAmazon GOのようにレジ会計自体をなくす形態もあります。かつて改札が自動化したように、一度その利便性を味わうと生活者は二度と今までの不便には耐えられません。リアルを加速させるためにどうテクノロジーを活用できるでしょうか。今実施しようとしているデジタルトランスフォーメーションがどちらの方向なのかを今一度考えることで、やらなければならないことが見えてくるはずです。

リテールイノベーションは目指すべきではなく
目指さなければならない

リテールイノベーションを目指さなければならない背景には、
「IT企業の台頭」「生活者のデジタル武装」「テクノロジーの発展」
という大きく3つの理由があります。

IT企業のリテール領域への進出

今までEC専業だった企業が実店舗を持ち始めるようになってきています。ECサイトから始まったIT企業たちは、従来の小売・流通の商習慣などのしがらみもないため展開も早く、また、ECで得た顧客情報(個人情報よりは属性情報や購買履歴重視)とテクノロジーを融合させ、新しい小売・流通のあり方を模索しているのです。

そのため、今までの競合他社との戦い方とは異なり、今まで企業が持っていなかった「なぜ買ったのか」や「なぜ買わなかったのか」という理由データを膨大に保有しているIT企業が新たなライバルに加わっていると再認識することが必要なのです。

生活者のデジタル武装

現代においては、企業よりも生活者の方が先にテクノロジーを使いこなしてしまいます。こうした状況において、不便の排除と体験価値の提供の重要性はますます大きくなっています。なぜならデジタル武装した生活者はわがままであり、「不便」や「退屈」には耐えられないからです。ほんの少しでも「使いにくい」、「面白くない」と感じた瞬間にそっと離れ、他社製品やサービスへと移ってしまうでしょう。

今までのように「不便だけど仕方がない」とあきらめて、企業が提供する仕組みに合わせてくれるお客様はいなくなるのです。その代わりに、自分が気に入った仕組みに対しては、どこまでも支えてくれます。顧客とのエンゲージメント(つながり)を形成して強化していくことが求められています。

テクノロジーの発展

AI、AR、VR、動画などのテクノロジーが、日常レベルでも活用され始めており、今後もますます身の回りにはデジタルとリアルをつなぐようなアイテムが増えていくと予想されます。

IHS Technologyの推定によれば、2016年時点でインターネットにつながるモノの数は173億個であり、2015年時点の154億個から12.8%の増加と堅調に拡大しており、2020年は約300億と現状の数量の2倍に規模が拡大する見通しなのです。

さらに、5Gという次世代移動通信のサービス開始が2020年を目処に進められており、ますますリアルとデジタルの境界はなくなっていくと予想されます。こうしたテクノロジーを活用することで、オペレーションの改善や顧客とのリッチなコミュニケーションが可能となるのです。