コロナ禍における
各鉄道会社とグループを取り巻く現状
主力事業の課題
鉄道事業の収入が大幅に減少
鉄道利用客が全体的に大きく減ったことに伴い運輸収入が大幅に減少。
一方で、鉄道は公共交通機関としての責務を果たすべく
SC事業の売上減少
緊急事態宣言等による外出自粛、営業制限により、SC(ショッピングセンター)事業等の売上が減少。

現行の駅・列車の体系を維持しながら新たな収入源を検討する必要がある。
グループ全体の課題
小売事業・ストア事業への影響
緊急事態宣言等による外出自粛、営業制限により百貨店等の小売業の売上は大きく減少。その一方で、食料品や雑貨等を取り扱うストア業の売上は好調であり、今後も増加基調が続くことが予想される。

小売業は、販路を広げるなどの施策を検討。
ストア業は、魅力的な商品の提供促進など
好調を維持継続する施策の実行が必要。
顧客の動向
新しい生活様式への移り変わり
外出制限等の影響もあり、EC・ネットショッピングなど自宅で商品を受け取れるサービスが好調。

EC需要の受け皿を整備する必要がある
鉄道利用客の存在
通勤・通学のために鉄道を利用するお客様は以前と比較すると7割程度だが、一定数存在している。

既存利用者に向けた新たなサービス展開を検討
新規事業の検討

鉄道会社のアセットを活用した路線価値向上
駅に近い社有地を物流倉庫として活用することを検討。
さらに、グループ内の運輸業や自動車業と連携した沿線内に向けたきめ細やかな配送を可能とするラストワンマイルの展開を検討。
様々なニーズや課題を踏まえたうえで、
新たなスキームとして物流事業の展開が可能と判断
鉄道を活用した物流スキームの構築
物流スキームを構成する要点

既存のアセットを生かすことで低コストで実施することができ、
沿線住民の利便性向上に資する施策を行うことが可能になります。
1.鉄道を利用した配送網の構築
総合的に輸送人員が減少、鉄道の利用者が減少していることから、日中時間帯に運行している各駅停車の一部を貨物専用車両として駅間の物流配送に活用する。
沿線に構えるグループ間の配送に活用することも可能となり、グループ同士が個々に行っている物流コストの圧縮が可能。

2.駅で荷物を受け取れるサービスの展開
百貨店やSCの商品を、窓口やロッカーなどを活用して駅で受け取り可能にする。
鉄道を利用した配送網を活用することで、お昼までに店舗で購入した商品や、(将来的に)ECサイトで購入したものが最短2〜3時間程度で駅へ配送することが可能になる。

3.社有地の活用
車両出入庫の起点駅で停車中に貨物の積み込みを行うことで、外部荷主の荷物も同時に積み込むことが可能になる。起点駅付近の社有地を活用した倉庫を展開して貨物を集約することで、グループ内外問わず様々な貨物の取り扱いが可能となる。
これは鉄道網を利用するからこそ実現できることであり、他の物流事業者にはない強みといえる。

4.ラストワンマイルの展開
百貨店やSCから発送される商品や、ロッカーでの宅配便集荷において、社有地倉庫に荷物を集約することで沿線向けのスムーズな配送が可能となる。

参考事例
鉄道事業各社の物流参入状況
新幹線や専用ダイヤによる物流参入の取り組み
JR東日本では、新幹線の空席を利用した物流サービスなどを展開している。(※1)東京メトロ・東武鉄道では、お客様が利用できない専用ダイヤを設けた物流実証実験を佐川急便・日本郵便・ヤマト運輸と共同で実施(※2)するなど、収益の多角化に向けて動き始めている。
※1 出典:JR東日本 プレスリリース「「新幹線物流」など列車を活用した物流サービスを拡大していきます」(2020年9月3日)
※2 出典: 東京地下鉄株式会社 プレスリリース「鉄道を活用した物流実証実験を実施します!」(2016年8月29日)

各社共通の課題
専用の物流倉庫を有していないため、商品は大型物流センターから出荷され、運送会社の営業所を経由して駅(車両に積み込み行う場所)へと運ばれ、配達先の最寄駅へと運ばれる。荷物の経由地が増えるため、一般的な商品配送と比べてコストがかかり、スピード感が落ちることが予想される。(新幹線の場合は移動速度が速いため、産地特有品・高級な生鮮品を運ぶのには適している)
さらに、最寄駅から配達先へ配送する場合は運送会社に再委託する必要があり、コストが膨れ上がってしまうことが懸念される。

現行の体系を活用、社有地を倉庫展開することで
配送コストの削減・物流スピードを維持できる。
特徴を生かし、課題をクリアした物流スキームを目指す。
物流スキーム案

参考事例
路線バスを活用した貨客混載配送サービス
既存の路線バス網を活用し効率的な配送を実現
楽天は運営する配送サービス「Rakuten EXPRESS」において東備バス株式会社と連携し、バス路線網を活用した貨客混載サービスを実施している(※)。路線バス社内に専用の箱を設置し、バスセンターと営業所間を輸送する仕組みである。
※出典:Rakuten EXPRESS「路線バスを活用した貨客混載による配送サービス開始のお知らせ」


グループのバス事業と連携し高速バス・路線バスを活用した少量貨物の貨客混載配送は実現の可能性がある。
今後の取り組みとして・・・
自社ECだけでなく、外部との協業を視野に入れながら
物流スキーム拡張の可能性を探っていく。
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