Z世代が持つニーズと特徴。新たな市場の担い手を取り込むために

1997年から2012年にかけて生まれた人口を指す「Z世代」。Z世代が本格的に社会進出しており、消費のメイン層となり始めています。

Z世代は生まれた時からIT環境が整っており、AIが大きく進歩した中で成長しています。スマートフォンやガジェットに囲まれ、「真のデジタルネイティブ」とも呼ばれる世代です。

企業は、次世代の市場を担う消費者であるZ世代を無視することはできません。SNSなどの生活習慣や価値観など、Z世代に寄り添った戦略が必要です。

この記事ではZ世代の取り込みに悩む企業に向けて、Z世代の特徴や需要、SNSの活用について解説します。ぜひ販売戦略の策定にお役立てください。 

Z世代の需要を取り込むためのポイント

まずはZ世代の特徴を把握していきましょう。Z世代の特徴やそこから考える需要、Z世代に有効として知られるインフルエンサーマーケティングについて解説します。

Z世代の需要はどこにあるのか

需要を見出すために、まずはZ世代の特徴を見ていきましょう。Z世代は一般的な消費者心理に加え、以下のような特徴があります。(※)

  • ・見かけよりも中身重視
  • ・ジェンダーレス文化の浸透
  • ・社会問題への関心が高い
  • ・買い物する店舗は決まっている
  • ・1か所で買い物を済ませることを好む

※参照:TRANS|Z世代とは?|特徴や価値観が今後のマーケティング施策のヒントになる

https://www.trans.co.jp/column/knowledge/generation_z/

Z世代は、自分の価値観を大切にします。そのため商品はブランドよりも商品の中身や使い心地、自分に合っているかを重視します。

また男女平等の意識が高く、自分の母親がずっと働いている家庭も少なくありません。「男性は外で働き、女性は家で家事と育児をする」という価値観が薄く、育児や家事の分担や社会進出において、他世代よりも男女平等の意識が高いです。

また2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など大規模な自然災害を経験しており、社会問題への意識も高い点がZ世代の特徴です。SDGsの取り組みも一般的になり、企業における社会問題への向き合い方などの姿勢も重視しています。

つまりZ世代の需要を考えると、以下の特徴が挙げられます。

  • ・高級感やブランドよりも、Z世代の価値観に合った商品、サービスを作る
  • ・性別関係なく使いやすい商品、サービスを作る
  • ・SDGsや社会問題への取り組みを紹介する
  • ・新規獲得に力を入れ、“いつもの店”になる戦略を立てる
  • ・オムニチャネルに注力し、効率の良い買い物体験を提供する

インフルエンサーマーケティングの捉え方

デジタルネイティブのZ世代は、他世代よりSNSの利用率がダントツで高くなっています。アメリカ発のY2Kファッションや韓国のビーズアクセサリーなど、インフルエンサーが紹介したことで成功した事例も多数あります。

そこで企業が注目しているものが「インフルエンサーマーケティング」ですが、戦略はきちんと考えなければいけません。

ただインフルエンサーに任せるのではなく、企業側としっかり関係を築いて商品のよさを伝えてもらったり、開発から携わってもったりといった工夫も必要です。

人選も重要で、ただフォロワー数だけで選ぶのではなく、商材やZ世代にマッチするかも重要でしょう。

そもそもインフルエンサーとは、SNSで強い影響力を持つ人のことを指します。芸能人よりも消費者と心理的距離が近いことが特徴で、インフルエンサーマーケティングはメディアよりSNSの影響力が強まったことで生まれました。

しかしインフルエンサーマーケティングはすでに多くの企業が取り入れており、過去には芸能人やインフルエンサーの“ステマ疑惑”が起こった例もあります。陳腐化している側面もあり、常にコンテンツに触れているZ世代に響くような策略が必要です。

Z世代以降で重要視するべきチャネルの変化

Z世代はSNSを中心にチャネルが変化しています。有効なチャネルを見極め、Z世代に届く経路の開拓が必要です。

SNSから直接購入

Z世代は新聞や雑誌を手にする機会が少なく、情報収集はSNSが基本です。スマホネイティブであるZ世代は、SNSから気に入った商品を直接することも少なくありません。

調査によるとZ世代の4割がSNSから遷移したページで商品を購入した経験があり、ミレニアル世代の約3割、X世代の約1.6割と比較しても多いことがわかります。(※)

※楽々通販2|4割が「SNS経由からECサイトで購入経験あり」

https://raku2han.jp/2021/06/28/4692/

Z世代はバレンタインでさえオンラインギフトが人気です。LINEギフトなどオンラインギフトの活用が進み、音声SNSアプリのリリースなどが進んでいます。

コロナ禍で外出しにくくなった今、Z世代はますますECサイトやSNSからの購入が増えるでしょう。ヘッドレスコマースなど、すぐに購入できる仕組みが必要です。(ヘッドレスコマースについて、詳しくは後述します。

多様化する顧客チャネル

Z世代はSNSが多いものの、様々な顧客チャネルがあります。さらにそのチャネルは男女で特徴に違いがあることも分かっているのです。

男性の傾向として、広告や検索エンジンの活用率が高く、従来のWeb広告が届く消費行動をとっています。調査では男性のうち49.5%が広告やPR広告から購入した経験があり、Web広告も有効です。(※)

スキップできない動画広告で興味を持つと、自ら検索するケースもあります。検討段階では検索エンジンを使う人が最も多く、45.0%と約半数が検索している点も特徴的です。

画像出典: Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査 https://www.shibuya109.co.jp/news/4030/

女性の傾向としては、特にSNSの活用率が高くなっています。商品の出会いから検討までをInstagramで行い、検討段階でもInstagramを利用する人が43.5%と最多です。

女性は男性よりも検索スキルが高く、欲しい商品が決まっていないときはTikTokで「○○ おすすめ」で検索するなど、求める情報に適したワードや場所を把握しています。

画像出典: Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査 https://www.shibuya109.co.jp/news/4030/

つまりZ世代をターゲットとしていても、男性ならWeb広告や検索エンジン(SEO対策)が有効で、女性はInstagramやTikTokといったSNSが有効です。特に性別が影響する商材は、Z世代の男女別の顧客チャネルを把握しましょう。

タッチポイントを「購買の場」に

顧客との接点であるタッチポイントは、SNSなどオンライン上で急増しています。SNSから購入する割合の高いZ世代を狙うなら、タッチポイントそのものを購入の場にすることが有効です。

例えば画像共有アプリInstagramは、Z世代が友人のやりとりや情報収集に使っています。しかしZ世代がどのようにして自社の商材に出会い、Instagramから購入に至るかを企業側が把握しなければ成功しません。

例えば、アパレル企業がZ世代に人気のインフルエンサーを起用してインフルエンサーマーケティングを行うとします。しかしインフルエンサーが投稿内容に自社のHPをタグ付けするだけでは、消費者が目当ての商品にたどり着けるとは限りません。

Instagramから自社HPに遷移した後、消費者は膨大な商材の中から探す必要があります。数秒探して見つからなければ消費者の購入意欲は急降下し、やがて離脱します。つまり投稿したコンテンツから、ダイレクトにインフルエンサーの着用アイテム購入ページに遷移できる仕組みが必要です。

新しい需要に対応するためのテクノロジー

デジタルネイティブであり利便性や手軽さを重視するZ世代に支持されるためには、テクノロジーを駆使した“買いやすさ”が必要です。スマートフォンやPCから直接買える仕組みを作り、Z世代という新しい需要に応えていきましょう。

ヘッドレスコマースとは

ヘッドレスコマースは売り場ページへ遷移せず、タッチポイントの場で直接商品が購入できる仕組みです。その時消費者が見ている画面から直接購入できることで、購入意欲を下げず、遷移中の離脱を防ぐことができます。

ヘッドレスコマース前の手法では、消費者がWeb広告をクリックして興味を持った後、そのECプラットフォームへと遷移する必要がありました。売り場で考えると、商品を手に取り、レジへ並ぶようなものです。

しかしヘッドレスコマースならレジがハンディタイプになるようなもので、消費者はその場で決済ができます。画面遷移中に気が変わったり、読み込みに失敗して離脱したりカゴ落ちしたりするリスクがありません。

ヘッドレスコマースなら、Z世代が使うSNSから直接商材を販売したり、商品紹介ページからダイレクトな決済ができたりします。商品を知る場所と購入する場所を融合することで、デジタルネイティブなZ世代も不便を感じない環境を作るのです。

ヘッドレスコマースについては、特集:ヘッドレスコマースこれからのECサイトに必要な未来の「どこでもコマース」をご参照ください。

OMOやオムニチャネルの概念を活かした購買体験を実現

Z世代をターゲットとするには、SNSやスマートフォンがポイントであることをご紹介しました。しかしZ世代は他世代の消費者と同様に購入段階で店舗に訪れることが多く、「実物を見たい」などリッチな体験を求める点は他世代と同じです。

そこで意識したいのがOMO(Online Merges with Offline)です。オンラインとオフラインを融合することで、よりリアルな体験を生み出す仕組みが求められています。

接客や試着、実物を手に取ってみるといったリアルな体験は、Z世代も購入に欠かせません。Z世代は「買い物に失敗したくない」という思いが強く、気になる商品は購入間にSNSで口コミをチェックしています。

リアルな体験を生み出すOMO、そしてよりスムーズに商品を手にするオムニチャネルなどで、リアル店舗とテクノロジーを掛け合わせるDXを進めていきましょう。

新しい価値観やチャネルを持つZ顧客には、新しいテクノロジーが必要です。これから消費のメイン層となるZ世代に支持される戦略を見つけていきましょう。