プロダクトキーワードDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは「Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション」の略で、日本ではDX化、DX人材、DX戦略のようにすでに接頭語になるほどに一般名詞化しています。

元々は2004年にスウェーデンの大学教授である、エリック・ストルターマンが提唱したとされていますが、基本的な考え方は「ITの浸透により、人々の生活をよりよい方向に変化させていこう」というものです。今、日本国内で盛んにDXと叫ばれているのは、むしろ高度ICTの導入に寄っているきらいもありますが、本来は「ITを使って本質的な部分からビジネスを変革させていくこと」が求められる内容です。

日本でDX化という言葉がメジャーになり、そして明確に意識され始めたのには、様々な切っ掛けがありますが、その内の一つは、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」が平成30年9月7日に発表したレポート「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」にあると考えます。

このレポートの中で記載されている内容でもありますが、日本のICTシステムはすでにレガシー化してしまっており、適切なシステムの運用保守を実施することが、人材的にもコスト的にもむずかしい状況になっていくと考えられています。

10年ほどの間にレガシーマイグレーションなど、旧来の汎用機による会計などの処理を行っていたシステムを最新の環境やソフトウェアを利用したシステムへと改変を行うなど、関連する業務も多数存在していました。

在来型のこういったシステムの置き換えとともに、システムを利用した経営形態へとシフトしていく事がDXでは強く求められています。

現在のシステム開発・インテグレーションの分野では、とにかくDXというキーワードが氾濫しています。デジタル化を行うという点では確かにDX化は何らかのシステムを導入することではありますが、DXの名を借りたITシステムの導入で終わっていたり、極めて限定的範囲のシステム導入をDXと言っているなど、本質を見ていないDX化が多いのもまた事実です。

本来、このDX化というスキームの中で重要なのは、ビジネスプロセスの一部分をIT化することではDXの実現はなされず、情報の生まれる場所、情報の活用する場所、そして情報によって生み出させる場所のすべてを在来よりもシームレスにつなぎ、より有機的に情報を生かす、という点です。

在来のICTシステムあるいはパッケージの導入のように、ごく限られた範囲でのIT導入であれば、全体の変化には結びつかず、部分最適化で終わってしまいます。

エスキュービズムでは、少なくとも、業務・ビジネスプロセスの多くの範囲をIT化し、データによる可視化に努め、可視化したデータを正しい指標とデータ解析によって活用する環境を作る、という事までが必要最低限のDX化の要件であると考えています。

DXという言葉自体が一般的に使われるようになり、多くのサイトやITベンダーでもDXが当たり前の事として語られるようになりました。しかしながら、現在、現時点におけるDXの文脈は、主として一部業務のデジタル化にフォーカスしてしまっていることが大きな課題です。これは、前項で記した通りです。

今後、DXの導入を加速し、一般化していく中で適切なハンドリングをしていくためには、以下の様な考え方の整理が必要と考えています。

1. 攻めのDXと守りのDXの整理

今現在のDXという文脈では、その施策がトップラインを伸ばすためのものとして考えられているのか、あるいは業務効率など、業務効率化に寄与するものであるのか、あるいはそのどちらでもないのか、といったカテゴライズがすぐに分かるような状態とはなっていません。また、それらを適切に管理監督できる仕組みもまだなく、自社に必要な改革が何であるのかも、まだ判断しにくいという状況でしょう。

むしろ、パッケージの導入などをDX化と言い換えているような状態もまだ散見される状態でもあるため、そもそもDX化を推進することでなにをするべきであるのか、自社のどのようなポイントをDX化していくべきであるのか、を適切に考えて行く必要があると考えます。

そのためにも必要な整理の方法として、以下の様なものがあります。

攻めのDX

トップラインを伸ばすことを目的にした施策、など。例えば、店舗の会員管理が紙カードでなされており、デジタル化されていないが故に再利用性も低く、有効な活用が出来ない状態であれば、顧客に対する提供価値、提供体験自体の再定義が必要になるでしょう。

この中で、データによる判断をしやすくし、お客様の様々な接点をDX化していくこと、などが攻めの方策には含まれます。

守りのDX

トップラインを伸ばすことよりも、業務効率の向上などに視点を向けたパターンです。分析をし、データに基づく判断をしようとしても、そのための環境が整っていないというケースが多いなど、業務全体の効率化を図ろうとするときに、デジタル化されていない、またはそもそもそういったことを考えて設計されていない業務などは多数存在しています。

これらのデジタライゼーションを推進し、デジタルデータに基づく組織運営や判断を行っていくためには、正しいデータを正しいタイミングで、正しく取得することが何よりも重要になり、これらの内容のフォーカスしている仕組みを構築することが、守りのDXの要であると言えます。

2. DXだけではなく、モダナイゼーションという概念を取り入れる

モダナイゼーションとは、レガシーなデータ資産をDXの世界で求められるモダンデータ活用ができるように、変革していくことを指します。

現時点においては旧来のデータで収集しているが故に活用性が低くなってしまっているデータなどを、より活用しやすいように整理することも必要です。そのためにリプレイスをするべきであるのか、あるいはリホストするべきであるのか、または、データに必要な情報を付与する、より有機的な仕組みを構築するべきであるのか、など、様々な選択肢を検討するべきでもあります。

このため、DX化を推進するに当たり、どのデータをどのようにモダナイゼーションを実行するべきであるのかを検討することが必要であると考えます。

上記の様な様々な視点での検討が今後DXでは求められ、特にDX化が一般的になるに従って、単なるパッケージシステムの導入がDXと捉えられてしまうケースも増えていくと考えます。これらに対応するDX戦略自体を正確に描き、正しいDXロードマップを用意することが必要と考えます。